room40.bandcamp.com
環境音楽って、難しいし、その難しさが仕事をするときのBGMとして邪魔にならなくて丁度良かったりする。
再生してすぐに気づいた。
これは聞かせる音楽だと。しっかり聞かないといけないという感じがした。普通のノイズではあるけど。惹きつける何かがあった。
概要欄を読んで、理解して、納得してしまった。
When the Scottish composer Alan Lamb was a child, his nanny put his ear to a telephone pole so that he could “hear the sound the world made.” Soon thereafter, he had recurring dreams of a faraway train that sounded a sustained major sixth interval. Some 25 years later, these experiences would combine as he slept in his van by the side of the road. Another major sixth was ringing in his head, but this time it was not in his dreams: The telephone wires outside were singing in the wind. Lamb became obsessed with recording this phenomenon, but it was nearly impossible to replicate until he found a half-mile of telegraph wire on his sister’s farm, called Faraway, in Western Australia. He purchased the disused poles and wire for $10 and created the Faraway Wind Organ, possibly the largest musical instrument in the world. The taut wires reacted to any stimulus, from the wind to contact with insects or rain. By tightening or loosening the wires, hanging objects from them, and manipulating them within their wooden supports, Lamb discovered a further range of sounds. He would record them for hours at a time in all weather conditions, carefully crafting compositions afterward from the results. Night Passage features two such compositions along with a third, created with a separate wind organ in Japan. The album is a classic of environmental sound, originally released in 1998 but now remastered and reissued for Lawrence English’s Room40 label. The Faraway Wind Organ has long since been destroyed, its wires fried by lightning and its poles eaten away by termites, but its massive sound lives on in Night Passage.
訳:
スコットランドの作曲家アラン・ラムが子どもの頃、彼のナニーが電話柱に耳を当てさせて「世界が作る音」を聴かせたことがあった。その後間もなく、彼は遠くの列車がメジャー・シックススの和音で鳴っている夢を何度も見るようになった。それから約25年後、彼は道路脇のバンの中で眠りながら、それらの経験が再び結びつくことになる。頭の中でまたメジャー・シックススが響いていたが、今回は夢の中ではなく、外の電話線が風に揺れて歌っていたのだ。ラムはこの現象の録音に取りつかれるが、再現はほぼ不可能だった。そんな中、彼はオーストラリア西部にある妹の農場「ファラウェイ」にあった半マイルほどの電信線を発見する。彼は使用されていない柱と線を10ドルで購入し、世界最大級の楽器かもしれない「ファラウェイ・ウィンド・オルガン」を作り上げた。張り詰めたワイヤーは風や昆虫、雨など、どんな刺激にも反応し音を生み出した。ラムはワイヤーの張り具合を調整したり、物を吊り下げたり、木製の支柱内で操作したりすることで、さらにさまざまな音を発見した。そして、あらゆる天候の中で何時間も録音し、その結果から注意深く作曲を行った。アルバム『ナイト・パッセージ』には、そのような録音から作られた2つの作品と、日本にある別の風オルガンで制作されたもう1つの作品が収録されている。このアルバムは1998年に最初にリリースされた環境音楽の名作で、現在はリマスターされてLawrence EnglishのRoom40レーベルから再発売されている。ファラウェイ・ウィンド・オルガンは、雷でワイヤーが焼け、シロアリに柱を食べられてしまい、今では存在しないが、その圧倒的な音は『ナイト・パッセージ』に生き続けている。
そして、感じながら、聞くことにした。
目を瞑って、LRのスピーカーの間に座って、久々に聴覚だけに集中した。
24分間。
すごく情景が浮かぶ。
異国の風にワイヤーがなびいていることを確かに感じる。電気信号が微弱に流れている、何かが日本のものではない、違う湿り気をもって吹いている。
そう思えた。
雨なのか、風なのか。
不思議と、芝生と曇り空と風を感じた。
そして、その風がちょっとずつ変わっているのを感じた。
すごく立体的にその環境が感じられた。
気温も多分15度とかそれくらいで、風が同じ方向じゃなくて、いろんな方向からちょっとずつ吹いてくる。肌寒くて、ウールのロングコートのようなものを羽織っている。きっとその下には、薄手のセーターを着ている。ウールっぽいパンツを履いた男が猫背になりながら、繊細に録音を続けている。
とても熱を感じる。
そういう情景が繰り返し、繰り返し、頭の中に流れる24分間。
物語性があるというか、聴覚しかないのに、風の触覚や匂いまで感じるような。マインドフルネス瞑想的であり、海外旅行をしたような気分でもあった。
とても刺激的な体験。
おすすめです。
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