東京モラルハザード

お腹がゆるいので、うんこを漏らさないことを目標に生きています。音楽を中心にカルチャー寄りの話題を書きます。

MORALITY IS DEAD

誕生日直前!air podsおねだりの怪

初めて誕生日にほしいものを伝えたが、これが失敗した。


最近交際している彼女との出来事である。

前提 誕生日は難しい

この話の前提として、私が今まで付き合ってきた彼女たちからのプレゼントや誕生日自体に対する価値観を説明しなくてはならない。初めての彼女との初めての誕生日、私は自分がほしいカバンの半額を彼女に出させることで、私への誕生日プレゼントとした。半額という中途半場なプレゼントは、当時お金の無い彼女の精一杯だったが、それ以上に私の面倒臭さが災いしている。


私は、誕生日にプレゼントを渡す文化を面倒だと思っている。
私自身が相手の好きなもの、ほしいものを考えて、それをプレゼントするのは嫌いではない。しかし、もらうのは苦痛だ。女性というのは、どういうわけか形に残るもので渡したがる。私は、ほしいものといえば、普通のOLが渡せないような高価な家電やPC機器くらいである。とにかく、手頃にプレゼント出来る価格帯にほしいモノは無い。
服という選択肢もあると思う。しかし、服装には自分でも把握できないほどの強いこだわりがあり、自分ですらこれ!というものが直感でしかわからない。歴代の彼女はもちろん、10年来の友だちでも、私がハマるものを見つけてきた試しがない。挙げ句、体も小さいので、万が一ドンピシャなものがあっても、サイズが合わないことが多い。*1


こんな私でも、プレゼントをもらったときは素直に嬉しい反応をするが、もらった時計や服などは使いつづけたことが無い。そもそもプレゼントをもらった回数が少ない。大抵、誕生日前に別れるからだ。悲しいものだが、大きな出費が発生する前に関係を切られる。それは、非常に建設的な判断だと思う。私だったら、誕生日の出費が嫌で別れたと察されたくないので、相手が誕生日を迎えてから別れを切り出すと思う。そもそも私から別れを切り出したことは、いままで一度もない。愛とはいつも一方通行なのだ。

本題 air podsの怪

さて、今回の私は素直にほしいものを聞かれて、素直に答えてしまったのだ。これがそもそもの失敗である。


誕生日が近づくに連れて、私は何がほしいか考えていた。当時、有線イヤホンを解くのに毎日イライラしていることもあり、ワイヤレスイヤホンの購入を検討していた。しかも、耳にゴムをつっこむカナル型イヤホンは嫌いなのだ。あの侵襲感が無理。すると、有名どころでappleair pods一択になる。使っている知り合いから良い評判も聞くし、ほしいと思っていたのだ。
金額は、1.8万円程度。世間の感覚はわからないが、正直、彼女におねだりするには、少し高い品だと感じていた。しかし、前述のように服などは、直感がはまらない限り買わないし、他にほしいものといえば、より高価なものばかり。逆に、よくわからないものを渡されても使わないし、それこそもらっても困ってしまう。また、air podsであれば、外出時の使用頻度は非常に高く、プレゼントした本人としても使い倒してくれて嬉しいのではないかと思った。
今考えれば、使い倒してくれて嬉しいのでは?という発想は私のエゴである。


クリスマスにも、欲しいと言われた3万円ほどのダウンジャケットを買ってあげた上に、国内ではあるが旅行にも連れて行った。金銭面では、おねだりしても許されるのではないかという甘えがあった。


誕生日の前月のデートで、彼女に欲しいものを聞かれた。彼女が私の性格を踏まえて、私に欲しいものを率直に聞いてくれるのはとても嬉しかった。それは別として、1.8万円のおねだりをすることがとてもきつい。
そもそも交際している異性に対しておねだりというものをしたことがない。
世のヒモ男たちにはリスペクトしかない。
欲しいものを伝えてちゃんと買ってもらえるなんて、才能でしかないし、羨ましい。
私は口をモゴモゴさせて、次回までに考えておくと、曖昧に返答した。


すぐに次回は来た。今日こそは人生初おねだりをすると、心に誓った。しかし、誕生日とは関係のない話題の中で、どうほしいものを伝えていいかわからず、会話がおぼつかない。そう、私は焦っていたのだ。ここで伝えず、また欲しくもなんともない何かを渡されて、下手な芝居を打って、相手を傷つけてしまうのではないか。そうやって焦っていた。


ほしいと伝えて、高価だと言われれば、それで引き下がる。それは覚悟の上で、おねだりというものをしてみたかった。結果的に切り出す機会を逃し、その日は駅の改札で別れることになった。
別れる直前、彼女から本件への言及があった。私は、前々から答えを温めていたことを何故か恥じて、あたかもさっき思い付いたようにair podsを打診した。彼女はair podsに関心がないのか、ピンと来ていない感じだ。彼女はiphoneへの妙なこだわりがあるし、air podsも知っているものだと思ったので、それは意外だった。私は彼女の反応に不意を打たれ、「でも、高いから、別にいいかな…」と不要なタイミングで、譲歩を提示してしまった。営業マンが見積もりを提案して、相手がまだ何も発していない段階で、値下げを提案するだろうか。バカである。しかし、彼女はスマホでそれを調べるなり、値段を確認して言った。
「うーん、いいんじゃない?」
どういうことだろう。なんというか、頑張っておねだりしてみるもんだなって思った。妙な喜びと安心感が溢れたのを覚えている。その日からは有線イヤホンを使うたびに、誕生日になったらこのイヤホンがair podsになるとワクワクしたものだった。


誕生日を祝ってもらえる前日。彼女は私を呼び出した。もともとは、呼び出す予定がなかったが、仕事のことでどうしても報告したいことがあったのだった。仕事を話はひとしきり話し切ったのか、帰るというタイミングになって、彼女がair podsを一緒に買いに行くことを打診してきた。
前日まで購入していない…。この時点で、得も知れぬ不安が頭をよぎった。
そして、彼女は唐突に家で交わされた家族との会話を私に話す。彼氏がair podsを欲しがっており、ぶっちゃけ高いと感じていること。それを聞いた彼女の母親が素直に「高いから買えない」と伝えればいいではないかと言うこと。そして、彼女が「いやでも、それを言ったら、彼氏は優しいからほんとに買わなくていいと言う」って返答したこと。


もちろん、いま冷静に文章に起こしている時点で、彼女が不買の意志を示したわけでないことも理解できるし、彼女の母親も冗談のつもりで言っていることがわかる。しかし、私はair podsをプレゼントされるという妙な高揚と同時に、彼女に高価なものを要求したという圧倒的負い目を感じており、それに対する追撃にしか聞こえなくなってしまっていたのだ。
私は彼女の話を聞くなり、調子に乗っておねだりしたことを悔い、どん底に落ちるような気分になった。


私はわたしに言い聞かせた。
調子に乗るといつも悪い方向に行く。それは身にしみてわかっているではないか。何を今更。


そうして、彼女の「高いモノ買わされているギャグ」を、テンションを下げることでめちゃくちゃにした私であった。
果たして、私は無事にair podsをプレゼントしてもらえるのだろうか。


次回、「めんどくさいから、もうデリケートな話題に触れるのはやめるね」
ご期待ください。

*1:これを書きながら、サラリーマンならスーツに合わせるネクタイとか、そういうことを言っておけば良いのだなと妙に腑に落ちた。次回からは、ネクタイやネクタイピンや靴下と言うことにしよう。

MORALITY IS DEAD