東京モラルハザード

お腹がゆるいので、うんこを漏らさないことを目標に生きています。音楽を中心にカルチャー寄りの話題を書きます。

MORALITY IS DEAD

清竜人25のミュージカル調の原点を探った

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清竜人。いま私をもっとも魅了する同い年の男性アーティスト。最初は、名前の読み方すらわからなかった。「きよしりゅうじん」と読むそうな。彼はいま私の大好きなでんぱ組.incの楽曲や声優の堀江由衣などに楽曲提供する傍ら、新プロジェクトとして自らがセンターに立つアイドルユニット「清竜人25」として活動している。この清竜人25は、一夫多妻制というコンセプトのもと、センターの竜人を夫と据え、そのまわりを6人の夫人たち(奥さん)で彩り、パフォーマンスをおこなうユニットだ。竜人という夫を立てるようにパフォーマンスをおこなう楽曲やライブは、見る者聴く者に、不思議と多幸感を与える。斬新なコンセプトと、そのコンセプトに負けないパフォーマンスは、群雄割拠のアイドル戦国時代に確かの存在感を放っている。
今回は、清竜人の楽曲変遷とともに、彼の作り出すミュージカルのような力強いエンターテイメント感の源を探る。

ミュージカルが始まった

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清竜人というと、ロッキング・オン界隈から突如現れて、しっとり系シンガソングライターという認識が強いだろう。実際、auのCMソングなんかも歌っており、私自身もその頃から清竜人というアーティストは知っていたし、彼のスタイルもなんとなく認知していた。

こちらは、竜人のデビュー曲「痛いよ」。聴いてもらえれば、一目瞭然、いまのスタイルとはまるで違う。しっとりとウイスパーボイスで歌う繊細な楽曲。どういうことだろうか。曲が出る度に少しずつ毛色を変えていく、竜人は4thアルバム「MUSIC」にしてものすごい変化を起こしてしまった。

MUSIC

MUSIC

「どうしてしまった、清竜人
多くのファンはそう思ったに違いない。これは、「MUSIC」内の代表曲「Can you speak Japanese」。映像は、EMIの音楽フェス。これをフェスでやりきってしまうのだから、その度胸たるや、凄まじいものである。もはや、ソロでもなければ、竜人がメインボーカルかどうかも怪しい。彼の楽曲はこの時点で、1つのステージ・パフォーマンスに昇華したのである。
この時、女教師役は冒頭での挙げた楽曲提供先の声優堀江由衣である。
彼のこの方向性は、いつからスタートしたのか。全ての原点は、堀江由依への1発目の楽曲提供に始まる。

この楽曲提供のコンペ時、偶然こういう楽曲を作る気分だったという清竜人。変調する主旋律、歌詞というよりは台詞に近いリリック、歌詞と歌詞の間に挟まる「ねぇ」の問いかけ。いまの彼のエッセンスが全て詰まった楽曲と言えよう。この楽曲の制作の中で、竜人の中に何か新しい創作の芽が生まれたのだろう。

アイドルプロデュースへ

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でんぱ組.inc夢眠ねむに対して制作された曲、「あのね…実はわたし、夢眠ねむなんだ…♡」。これがでんぱヲタ(殊、ねむ推し)の間で圧倒的破壊力をもって受け入れられた。もちろん、一部では曲が単調すぎるという声も聞こえたが、私は他アイドルの中でも、圧倒的ベストソロ曲という認識で受け止めている。
私自身は、この頃から清竜人に対する興味が沸々と沸き上がっていた。夢眠ねむのキャラクターを存分に押し出しながら、不思議な読み物調の歌詞とキュンキュンとさせる言葉尻。清竜人は乙女心を表現する秀でた才能をもっている。女性よりも女性らしい楽曲を作ると評される彼の原点は、女性ボーカルの曲しか聞かないという点にあるのかもしれない。
ミュージカル的な構成を得意とするようになってからは、音密度が高まり、楽曲は複雑になる一方、直接的なメッセージ性は削がれ、まさに聴くものを魅了し、ダンス等の見せるパフォーマンスとの親和性が高い音楽近づいてきている。
夢眠への楽曲提供と同時期にでんぱ組の武道館公演のテーマともなる楽曲「Dear☆Stageへようこそ♡」を提供する。

声の出演も多分、清竜人。これが物語性をはらんだミュージカル的アプローチかつ、楽曲としての完成度も異様に高く、玉屋2060%とヒャダインが創りだしたでんぱ組の音楽世界にまた1つ新しい領域を確立した。
声優そして、アイドルの楽曲を手がけるようになった清竜人のエンターテイメント的世界観は、既存のファンや音楽オタクのみならずより多くの人々に受け入れられるよう、自身のアイドルユニットという表現形態にて展開されていくのである。

清竜人25の誕生

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ついに生まれた一夫多妻という究極のアイドルコンセプトと、それを支える竜人のエンターテイメント性の高い音楽と力強い歌唱力。衝撃のファースト・シングル「Will♡You♡Marry♡Me?」ファンク基調のカップリング曲「ラブ♡ボクシング」、セカンド・シングルはアイドル系アレンジを加えた8bit風味の元気系アイドルソング「A・B・Cじゃグッと来ない!!」、そして来る27日はサード・シングル「Mr.PLAY BOY…♡」がリリースされる。
昨日、GyaOを皮切りにYouTubeでも新曲MVが公開された。スタートの「Yo,Yo,スケベ、スケベ!電光石火のスケベ、スケベ!」という掛け声から電撃が走った。ツイストを意識した歌謡曲調の楽曲は、どこか古い時代のノスタルジアを感じさせながら、絶妙なダサさとかっこよさを放っている。このダサかっこよさが清竜人の見た目とパフォーマンスをより際立たせ、一段上の愛される異色の男性アイドルとしてのキャラクターを演出する。
結成当初から一貫して清竜人は、夫人たちのことを自分の飾りだと言い放ち、25自体をあくまで清竜人の表現形態の一環であると宣言している。実際、彼のライブに見に行くと彼の存在感はずば抜けており、本当に清竜人がかっこよくてセクシーで、彼がセンターなんだというのは誰が見ても一目瞭然であり、他メンバーを飾りだと言い放つその態度にも納得がいってしまう。彼にしかできないスタイルであり、この斬新なコンセプトは完全に彼の力で形になっているのだ。また、センターの清竜人の存在感を誰もリスペクトしつつ、しっかりと各々夫人達にファンが付くというのがまた面白い。当初、ファーストシングルの時点では、全員が同じ花嫁風の衣装であったが、セカンドの頃より一人ひとりに担当色が付き始め、より個性が見える形となってきた。また、清竜人自身がライブ中は一切MCを行わない点から、デビュー間もない夫人達が一生懸命にMCをやる姿には、純粋に応援したい気持ちが芽生える。現在は、テレビ朝日のネット放送局LoGiRLにて、夫人のみでレギュラー番組も抱えている。logirl.favclip.com
夫人たちファンがつくことで、単純なアイドルとして楽しめる観客も増えるし、いわゆる箱推しの形でみるファンやお客さんもたくさんいるだろうし、清竜人の前々からの女性ファンもついてくるだろうし、全方位で敵を作らない愛されるユニットになっているのだ。また、メンバー自身も絶対的センターがリーダーで夫の竜人であるために、メンバー同士の争いがなく、団結感が強いということを仕切りにインタビュー等で語っている。音楽的にも清竜人の楽曲性をベースとしながら、ファンクやロックに縛られず、多方面な楽曲を次々に作っていくことが期待されるし、いまのところは順調にリリースを重ねている。
これからの清竜人そして、清竜人25の活動から目が離せない。

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