東京モラルハザード

お腹がゆるいので、うんこを漏らさないことを目標に生きています。音楽を中心にカルチャー寄りの話題を書きます。

MORALITY IS DEAD

パンクからポップへ、後藤まりこ2ndアルバム「m@u」

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こんばんは。

大森靖子と後藤まりこの延々リピートを繰り返してます、ウツノミヤです。

環ROYのMV「ワンダフル」がメディア芸術祭審査委員会推薦作品に選ばれて、大変嬉しく思います。

 

m@u買いました

買いました。インスアライブの整理券ももらったのですが、残念ながら予定とダダ被りでいくことができません。とても悔しいです。くやしいぃいいい

 

m@u

m@u

 

 素晴らしいアルバムです。とてもSCANDALとtricotとの対バンの時に勝手に発売日を決めたとは思えないほど、完成度が高いです。後藤さんが悩みに悩み抜いて作品を作り上げたのがじわじわ伝わってくる熱量のある作品です。トラックの構成も素敵です。陰と陽の曲が交互に来るように構成させていて、飽きませんし、トラック1「4がつ6日」からスタートし、最終トラックの「世田谷区桜新町2丁目」の終わりまで、いまの後藤まりこの世界観、自己の音楽的なポジションをしっかりと表現していると思いました。

 

パンクからポップへの転向

風呂ロックでの単独弾き語りの際、パンクと制服を捨てようともがく後藤まりこからは想像できません。当時の後藤まりこからも、「丘イルカの歌」などからいまの方向性は十分に生まれていたのですが、まだ優しさのない刺だらけの状態だったように思います。

しかし、いまやしっかりと新鋭ガールズ・ポップ路線に進みながらも、いまだ発展途上の繭に包まるその様相を感じております。

 

実験的な打ち込みと語りの曲

打ち込み色の強い「す☆ぴか」「大人の夏休み」からは彼女の実験的な模索が垣間見られます。ウツノミヤは、この2曲かなり好きです。ほとんど日本語ラップ状態。ライブで何度か披露されていますが、この実験はぜひ今後も続けてほしいです。両曲とも山場でシャウトする箇所があって、めちゃくちゃ痺れます。

 

ガールズ・ポップらしいキュートな曲

ミドリ時代からのファンは残念に思っている前作での「うーちゃん」や「ゆうびんやさん」的立ち位置のキュートな曲も精度が増し、「浮かれちゃって、困っちゃって、やんややんややん」「Hey musicさん!」はかなりいいラインを行ってます。ただ、かわいいかわいい全面押しの曲はなく、アルバム全体を通して一定にキュートなテンションが維持され、後藤まりこらしい卑屈な要素もバランス良く散りばめられ、キレイにオリジナリティが表現できているように思いました。

 

曲じゃない曲

トラック5「だいろーちゃんとまりこちゃん」は、新旧両ファンが楽しめるライブの狂気を1つの即興的トラックにまとめた出来になっています。後藤まりこの抽象的で脈絡のない発語にスガダイローが即興的にピアノを乗せていくこの曲は、後藤まりこの苦悩をしながらも制作した心をそのまま音にぶつけたような粗々しさがあり、聴いていてゾクゾクします。ほんとうにスタジオで一発録りしたような演奏で、後藤まりこの言葉に自在にピアノをテンションを合わせていくスガダイローもすごいし、逆にピアノに合わせてぐわんぐわん揺れる後藤まりこも振り幅の広さは納得のパフォーマンスだと思います。そのあとに、このアルバム1かわいい曲が間髪入れずに始める流れも、素敵です。

 

トラック4「すばらしい世界。」を何度もリピートしている

ライブで何度か披露されて、ずっと聴きたい曲でした。イントロが異常なまでにかっこいい。ステージで激しく飛び跳ねる後藤まりこをそのまま音に変えたようなギターで始まり、間奏のピアノとゴリゴリのベースが食い入るように交じる部分も、印象的です。ピアノとギターがメインということで、ミドリ時代が好きなファンにも優しい曲になっています。サビのキラキラ輝く明るさとそれ以外の箇所の鬱屈が素晴らしい対比を生み出し、ものすごく攻撃的な勇気が湧きます。「わたしの衝動」「sound of me」に続く、ミドリ解散後の後藤まりこの力強い代表曲になると思います。

 

 

相変わらず「自己の葛藤」が大きなテーマになっているような今作。ものすごく自分の内なるものを歌っているのに、自分への救いを歌っているのに、どうしてか不思議、聴いていると勇気というか元気が湧いてきます。彼女の真摯に音楽と向き合う姿に心が揺さぶられるでしょうか。

MORALITY IS DEAD